道は止まらない
衆議院で、ガソリン税暫定税率の存続・廃止が審議されている。
ガソリン税(揮発油税)は道路特定財源のひとつである。
もともと昭和28年にその原型ができ、昭和49年、当時の田中角栄内閣が暫定税率を定め、現在の約48円/Lの税額となった。
この税額は、年間約4.8兆円の目的税として国と地方自治体に納入され道路整備に支出されている。
この額は、防衛費(4.7兆円)より多く、生活保護費(2兆)介護費(1.9兆)社会福祉(1.6兆)失業対策(0.2兆)と比べて突出している。
高度経済成長期ならいざしらず、財政難の中、高齢化問題や失業問題の深刻な現状をを考えると、(暫定税率の見直しよりも)道路特定財源の一般財源化が必要なことは明らかなのだが・・・・
それを拒んでいるものは、
第1に国土交通省を頂点とする地方支配
(国の言うことを聞かないと補助金がもらえない中央集権の仕組み。だから東国原知事までもが、暫定税率、特定財源維持に迎合せざるをえない。)
第2に、ゼネコンの工事受注につながる産官のつながり。
(これに族議員が関与して政官民のトライアングルが作られている。ここまではよく指摘されていることです)
第3に、建設官僚の職務熱心(このことはあまり言われることはないが、実感では相当、原因となっています。)
職務熱心であって怠慢ではないのです。事実彼らは毎日深夜まで仕事をしている。
(私も何度も霞ヶ関に出張し、彼らと仕事をしてきたが、それはそれは良く働く。)
それゆえ、世間一般の世事に疎く、自分たちの仕事が全て(少なくとも最も大事)だと勘違いしてしまう。
国全体から見れば部分最適、全体不最適になっています。
どんなに優秀な人間でも、世間が狭く、限られた体験の中からは全体像が見えないのです。
これはちょうど太平洋戦争に先立つ、中国進出(侵略)に果たした帝国陸軍のそれに酷似しています。背景には植民地拡大を意図する財閥の意向があるのですが、加えて、陸軍の暴走が、戦争拡大の引き金を引いたことは歴史の事実なのです。
軍隊は戦うのが目的の組織であり。職務に忠実ならんとすれば、戦線を拡大せざるを得ない体質があるのです。
同じことが国土交通省道路局にもいえるようです。道路を作ることが手段ではなく目的化し、いつのまにか本来の目的である「国を豊かにする」ことを見失っているのです。
(道路整備中期計画の高規格道路14000Km、10年間の建設費59兆円は、どう考えても無理があります。そしていずれ財政破綻の引き金を引くでしょう。)
ちなみに、道路特定財源維持の理由「経済発展のため」は、もっともらしい理屈という点で大陸や南方への侵略の根拠となった「大東亜共栄圏」に似ています。
太平洋戦争の戦禍を引き起こした体質と文化は戦後60年余を過ぎても変わっていないのですね。
このまま行けば、道路建設で第2の敗戦を迎えるのではないかと心配です。
(写真は本四連絡橋の一つ、明石大橋 建設費5000億円)
Labels: まちづくり
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