Sunday, July 08, 2007

あるく・みる・きく・考える!

宮本常一生誕百年を記念して、各地で様々な催しが行われている。 http://www.d3.dion.ne.jp/~shouji/sub147.htm

晩年の20年間を過ごした府中市では、「宮本常一の足跡・旅する民俗学者の遺産」と題した展覧会が7月1日まで開催されていた。
http://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/event/event.html
なかなか出かける機会がなかったが、思い立って閉会直前に行ってきた。

「歩いた距離16万Km・地球4周分」「写した写真10万枚」
この展覧会のキャッチコピーである。

宮本は、「旅する民俗学者」とよばれた。
各地の古老から人生経験を聞き取り、生活の小事から古い民俗を浮き彫りにする独自の民俗学を開拓した。
柳田国男を師としながらも、研究方法が正統派ではないことから 学界の評価は決して高くはなかった。

展示では、宮本の著作や自筆の原稿が展示されていたが、その中でもひときわ目を引いたのは、膨大な写真(の一部)である。


戦後の経済成長の前の何の変哲もない農漁村の様子をひたすら写真に収めた。
そして、その風景から宮本は、そこに暮らす人々の意思を読み取り記録に残した。


「人は自分の持っているものしか旅から持ち帰れない」
自らの足裏で社会と暮らしを読み取る。簡単なようだが、その能力をもった人間が何人いようか。

宮本の卓越した「読む力」が、いにしえの日本人の心を明らかにした。
その「読む力」の源は、宮本の言うところの「あるく」「みる」「きく」「考える」・・・徹底した現場主義なのである。

インターネットで簡単に情報が手に入る現代、果たして我々に宮本のような「事実から読みとる力」が残されているだろうか。

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