Saturday, June 02, 2007

元町公園

東京出張の折、水道橋駅から御茶ノ水駅方面へ外堀通りを歩いていて、洗練された洋風の小公園を発見した。

その名を文京区立「元町公園」という。銘版には昭和5年建設と書いてある。

イタリア風庭園の様式であることはひと目でわかった。入り口の階段はは途中から左右に分かれ、正面にはアーチ模様の壁泉がしつらえてある。(写真1)


またその先の広場にはカスケード(階段状の水の流れ)もある。(写真2)


家に返ってネットで調べてみると、関東大震災の後の復興事業で作られたとある。 


当時はまだ大正モダニズムの自由な気風が残っていた時代である。(多分)当時の公園設計者たちは、(行ったことはなくとも)目標とするヨーロッパ庭園のデザインを果敢に取り入れようとしたのだろう。

 いたるところにその思想が見受けられた。

十字模様がくりぬかれたパラペット(壁)(写真3)


アールデコ風のフェンス(写真4)
頭部がデザイン化されたパーゴラ(藤棚)の柱(写真5)







あるホームページでは「表現主義」と評している。http://www.sainet.or.jp/~junkk/hukkou/motomati.htm


さらに調べてみると、(驚いたことに)現在、この公園は取り壊しの危機にさらされているという。隣の小学校敷地とあわせ大規模体育館の用地になるという。


これに対し、地域住民や建築家協会などの専門家がその保存運動を展開している。http://www.toshima.ne.jp/~tatemono/page025.html

端的に言えば、これは、大規模体育館の必要性とこの公園を保存する価値(歴史性、芸術性)との比較の問題である。
歴史の古い建造物は保存されることが多いのだが、元町公園の様な近代遺産は、その価値がなかなか認められない。

この問題の是非を論ずる立場にはないが、(公園整備を生業としているひとりとして)昭和の始め(欧米の都市に負けまいと)プランを練り上げた、技術者たちの新進の気概も議論の俎上に載せてもらいたいと思うのである。

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