今こそマキャベリ
参議院選挙で自民党は、歴史的大敗を喫した。
安倍総理は、続投の意思を示したが、それに対し内外から賛否の意見が出ている。
自民党内は、不満は残るが、大方了解。
財界は、改革路線継続を条件に続投賛成。
野党は、首相の責任追及を続けるという。
敗戦の原因は、年金記録漏れと大臣の不祥事、不規則発言といわれている。
(しかし)表向きそれが理由だとしても、根底には安倍総理自身のキャラクターに問題があったのではないだろうか。
「教育改革」や「憲法改正」を政治課題に取り上げたことは、(賛否はともかく)ポリシーを明確にすると言う点で、決して間違ってはいない。小泉政権が「構造改革」を掲げたことと同じである。
問題は、リーダーとしての資質である。
端的に言えば「非情」になれない者は、指導者としての資格がないのである。
内輪の人間関係で内閣を運営し、閣僚が問題を起こしてもかばい続ける。
育ちの良い「お坊ちゃま」の温情主義といわれても止むを得ない。
国民は、良く見ている。と言うより、安倍晋三を総理にした時点で自民党は、大衆の本質を見誤ったのである。
本来、人間(大衆)は、「老獪な知恵」と「偉大な力」をリーダーに望んでいる。
動物に例えれば「きつねの狡猾さ」と「ライオンの強さ」なのである。
これは、中世、フィレンツェの思想家マキャベリの著「君主論」の中の名言の一つである。
彼の思想は、「マキャベリズム」といわれ、「目的のためには手段を選ばず」という言葉に代表される。倫理よりも現実を重視するその思想は、社会の多数を占めるヒューマニストからは非難されてきた。
しかし、現実社会は、隣人愛にあふれる人間だけで構成されているわけではない。
むしろ、対立や駆け引き、そしてその結果の妥協が世の常であり、極端な話、政治はそれだけの世界なのである。
それ故、時代は変わってもマキャベリの思想は、今なお健在なのである。
安倍政権の続投に当たり、(塩野七生の著書から)マキャベリの箴言をもう一つ。
「しかし君主(指導者)は、それをしなければ国家の存亡にかかわるような場合は、それをすることによって受けるであろう悪評や汚名など、一切気にする必要はない」
写真 ウフィッツ美術館前にあるマキャベリの像
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