理由
宮部みゆきの直木賞受賞作品を、大林宣彦監督が映画化したサスペンス映画「理由」。
04年に映画化されたものだが、まったく知らずにいて、たまたまレンタル店でDVDを見つけ借りてきた。
160分もの大作だが、ストーリーの面白さとテンポの良さで一気に見てしまった、そして翌日また繰り返し見てしまったのだ。映画の筋書きは以下のHPでhttp://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD36059/story.html
作品は、(原作に忠実に)関係者へのインタビューを通じて事件の真相に迫ろうとする。ドキュメンタリー映画を彷彿とさせるところがこの映画の特色である。
107人もの人物が出演しているのだが、その多くが名の通った俳優である。
岸辺一徳、古手川裕子、柄本明、勝野洋、片岡鶴太郎、永六輔、立川談志・・・・
(原作では、300人もの登場人物が描かれいる。)
一つの殺人事件に何らかの関係のある人物を、それぞれの「訳あり」を丹念に撮るため、これだけの出演者になったという。
物語は、殺人事件に否応なく係らざるを得なかった様々な人物と、その人物を取り巻く家族のありようを丁寧に描いている。
この事件は、バブル崩壊の直後、(家族のため)マンション購入に狂騒する平凡な市民が、競売物件の占有事件に巻き込まれたことから始まる。家族のため無理をしてマンションを買求めたが、その結末は、ローンが払えず、家庭の崩壊が待っていた。その後、その部屋に住んだのは占有屋に雇われた擬似家族。擬似家族だが、それまでの実の家族との生活よりも幸せに暮らしていた。そこで起きた一家(?)4人惨殺事件。そして事件に巻き込まれた最後の所有者は、資産は失うものの、壊れた家族関係の中から新たな絆を見出す・・・・。
犯罪の陰にある、様々な人間模様。
はじめから犯罪を意図する事件は少ない。
「理由」があって犯罪に手を染めてしまう。
偶然と欲望と人間の弱さのなせる業である。
目に触れるのは表面だけという「事件」が、日々報道されている。
その陰に、どれだけ犯人やその家族の止むに止まれぬ「理由」が隠されているのだろうか。
身につまされる話なのだ。
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