Wednesday, March 21, 2007

加山又造展

茨城県立近代美術館で「加山又造展」が開催されている。
加山又造は、「有名」というほどではないが、文化勲章受章者で、日本画画壇の中では著名である。

名前も知らなかった作家だったが、2年前に東京都近代美術館で開催された「琳派展」に展示されていた「千羽鶴」を見て一目でファンになってしまった。

その加山又造の回顧展が近くで見られるとあってさっそく出かけてみた。

45点の作品が展示されていたが、まずその第一印象は、「器用」ということだ。(器用貧乏という意味ではない)

画風が時代によってさまざまに変化するのだ。(ちょうどピカソのように)
分類からすれば「日本画」なのだが、洋画の手法にも果敢に挑戦している。
「ルソー」の影響を受けたり、「ブリューゲル」風の作品を描いたり(作品「冬」は一目でブリューゲルの「雪中の狩人」の加山版と解る)、その無節操ともいえる挑戦には唖然とさせられる。

しかし、加山の真骨頂はやはり「琳派」である。正確には「現代琳派」ということになるのだが、前にも見た「千羽鶴」と今展覧会の代表作「秋春波濤」は逸品だ。
「銀箔」の地に描かれた屏風画は、現代版・尾形光琳を見る思いがする。

屏風画ではないが、「金」でデザインされた背景に描かれた裸婦像(額画 名前?)は「クリムト」の一連の作品を彷彿とさせる。

「クリムト」は工芸職人の子供であり、自身、職人になるべく教育を受けている。
加山も(また?)西陣織の図案家の子息である。

加山は、水墨画から裸婦まで様々に作風を変えた。クリムトも年代によって作風が変化したが、加山ほどではない。

(もし)加山がどこかで作風を深める方向に向かっていれば、「日本のクリムト」になったのではないか。
工芸デザインが原点という二人の共通点を考えるとそんな思いがするのである。

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