Monday, October 01, 2007

美を見つける

毎年この時期、日曜画家たちの展覧会が開かれる。

日展を始めとして各地の県展、市展でその秀作が見られる。

何人もの知り合いが毎年のように出展しているので、市展鑑賞は年中行事になっている。

アマチュアの作品なので、そのレベルはほどほどだが、いつも驚かされるのは、身の回りの(何でもない)風景に美を発見する力だ。

作品を見て、改めてその土地の持っている美しさに気付く。

風景画ではジョン・コンスタンブル(英国)の描く農村風景が好きだ。

コンスタンブルは、それまで宗教をモティーフにした絵が絵画の全てだった時代に、生まれ育った田園に美を見出し、風景画を確立した画家である。

東京と地方と経済格差が社会問題になっている。
資本主義が発展すれば格差は拡大する。
格差は、アメリカやヨーロッパ先進諸国ではすでに20年以上前から 社会問題となっているのである。
その様な先進諸国の中でもイギリスでは、都会から地方へ人口が移動している。
リタイア後は、豊かな自然の中で暮らすことがライフスタイルとなっているからである。
英国に限らず、ヨーロッパの田園風景は限りなく美しい。
この美しさの背景には、コンスタンブルやモリスのようにカントリーライフに価値を再発見した芸術家たちの活動があるという。

ひるがえって日本はどうだろうか。耕作放棄地と乱雑な商業広告だけが目立つ不毛な農村風景。
地方の(経済的)活性化が長年叫ばれているが、そこにはかつて田舎の持っていた風景や伝承文化の破壊が荒廃の原因であるという反省はない。
件の日曜画家たちのように、誰も気に留めないような身近な風景に価値を見出し、そこでの暮らしを大事にすることが21世紀の地方のあり方だと思うのだが。

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