Sunday, January 14, 2007

ビスターリさとみ

週末特に用事もなかったので、前から気にかかっていた「ビスターリさとみ」に思い立って行ってみた。
「ビスターリさとみ」は平沢土地区画整理組合理事長の椎名さんが本業を投げ打って活動しているNPO法人である。

ビスターリとは、「のんびり」といった意味のネパール語である。退職された日立市の教職員が隣の里美村につくったボランティア宿泊施設で、宿泊しながら農作業や山仕事を体験することができる。


昨年暮れ、椎名さんから一冊のレポートを借りた。放送大学の卒論だという。この「ビスターリさとみ」でのボランティア体験を通じて、日本におけるNPO活動の課題をまとめたものである。感想を聞かせてほしいといわれており、一度現地を見ておきたかったのである。

連絡もせず、突然訪問したのだが、宿直をされていたメンバーの方(教員OB)に話をうかがうことができた。元々この施設は、現役教員のための宿泊施設としてつくったのだそうだ。問題をかかえた生徒とじっくり時間をかけてふれあうための施設である。この施設を知って、遠くは九州からやってきた不登校の生徒もいたそうである。

(写真は部屋から見た畑)

昔は(といっても10数年前なのだが)、先生方にも余裕があり、休日にも校外で子供たちの生活指導を行っていた。教員への風当たりが強いが、今でも大多数の教員は、職務に熱心である。学力低下やいじめは、学校だけの責任ではない。むしろ社会全体の問題を学校現場に押し付けているのである。残念なことに現在、この宿泊施設を使う教員は減っているという。あまりにも忙しく、生徒と向き合っている時間がないためだという。角をためて牛を殺すとはこのことだろう。

(写真は炭焼き小屋)

現在、この施設は、一般にも開放されている。子ども会、スポーツ少年団など青少年育成団体を始め一般の団体の利用も多いという。「食事つくりから、部屋の清掃・・・全て宿泊者の責任で行う」これだけが規則だそうだ。「自己責任」を通じて、子供たちが学ぶことは多いという。

この施設の経営は、収支トントンだというが、実態は、関係者の寄付金でかろうじて維持できているという。退職金をつぎ込んだという役員の方々には頭が下がる。このような活動が、教育の底辺を支えていることを忘れてはなるまい。

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