Tuesday, October 03, 2006

街の危機


9月5日の「マスコミに叩かれた」の続編。

用途地域変更に反対している商工会議所の要請で、10月2日に会議所幹部と区画整理組合役員とで話し合いをもった。なんとかお互いの言い分を調整しようと意見交換会を開催したのである。

商工会議所は、当初は地域の商店街が寂れてしまうから、(大規模店舗立地につながる)用途地域変更に反対していたのだったが、当日会議所幹部から出された本音は、別のところにあった。

○○市の駅前には、大手小売業チェーンの○○店がある。業界ではトップクラスの売上高を誇っているし、○○駅前店も客の入りも良く(見え)特に問題はないように思えた。

ところが商工会議所によると、○○店の北方3Kmのところに大型食品スーパーが1年ほど前に出店したら、そのあおりを受け○○店の売り上げが急激に落ち込んだというのだ。まだ経営危機にいたるほど深刻ではないようだが、これ以上売上が減れば撤退も考えられるという。そして、今回の用途地域変更でさらに近くに大型店が出店すれば撤退の引き金になるかもしれないというのだ。

○○店は、駅前再開発事業の中核店舗として10数年前に市が誘致したものである。そしてその再開発のために巨額の公共投資をしたのである。まさに○○市の顔の一つであり、撤退するようなことになれば街のイメージダウンであり、大きな社会問題になってしまう。

しかし、売り上げが減っているといいながらも、○○店は具体の数字を示してこない。(納税の関係で外部に金額を明らかにできないそうだ)また、利益減が、店舗撤退に直結するものではないだろう。そして、そのような競争のなかで利益を生み出すのが、企業の論理である。

そんなことを考えると、商工会議所の言い分は、今までの護送船団方式の発想ではないかと思ってしまうのである。
しかし流通業界の浮沈はめまぐるしい。全国各地で郊外大型店舗に押され、中心市街地のデパートが閉店し、社会問題になっているのも事実である。

どうやら問題の本質は、今回の用途地域緩和が、街のサスティナブルデベロップメント(持続可能な成長)につながるか否かということのようだ。

持続可能性は地球規模の環境問題の大きなテーマである。世界経済においても、環境問題や南北問題を乗り越える新たな思想が求められている。そして、経済のグローバル化(アメリカ化そして市場原理主義)が決してサスティナブルでないことも皆気づいている。

今回の問題は、自由と規制のバランスの重心の置き方がポイントなのだ。組合の地権者は自由を、既存商業者は規制を・・・。そして行政はそのバランスの中心にいて、サスティナブルという細い綱から落ちないようにさおをあやつる。

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